投資を行うときに、長期目線で安定して収益を得る場合には、どの投資資産に投資するのが良いでしょうか?
長期投資では、やっぱり不動産投資が有利
長期目線で投資を行う場合には、「株」「債権」「不動産」が投資対象になるでしょう。その中で最も大きく利益を稼ぐことができるのは、やはり株式投資でしょう。しかし、株は株価が上昇することもありますが、暴落することもあります。また、会社が倒産すれば投資資金は、ほぼ0になってしまいます。
それを考えると、次に利益を稼ぐことができる不動産投資が選択肢となります。不動産価格(地価)は、地方では毎年値下がりしているところもありますが、株のように暴落したり、会社が倒産して投資資金がほぼ0になってしまうことはありません。
不動産投資には、REIT(不動産投資信託)と実物不動産投資がある
それでは、不動産投資をする場合、REIT(不動産投資信託)に投資するのと、実物不動産に投資するのは、どちらが良いでしょうか? これから不動産投資を始めたいと考えている方に、分かりやすく説明します。
REITのメリット・配当利回り・デメリット
REITは、投資法人が投資家から資金を集めて、数多くの不動産に投資し、その不動産の売却利益や家賃収入が配当金として投資家に利益還元される「金融商品」です。
なので、REITに投資することにより、不動産に間接的に投資したことになります。REITは、投資対象の不動産が証券化され、小口の資金(10万円程度)で証券会社を通じて購入することができます。
また、REITは不動産価格の変動に伴って、株のように価格が上がったり、下がったりしますので、インカムゲインの他にキャピタルゲインを得ることができるのも魅力です。
REITは、用途が一種類の不動産に投資されているREITから、複数の用途の不動産に投資されているREITまで、多種多様な投資商品があります。
用途が一種類の不動産に特化したREITでも、数件から数百件の同様の用途の不動産に投資されていて、リスク分散がなされております。
REITのメリット
REITのメリットは、下記の通りです。
- 証券取引所に上場されており、株と同じように取引ができて、換金性が高い
- 投資対象の不動産の選定・運用・維持管理・賃貸管理などを専門家が行う
- リスクを分散するため分散投資がされる
REITの配当利回り
REITの配当利回りは、株式投資の配当利回りに対しても高く、リスク分散を行いながら株よりも高利回りのリターンが得られます。
東京証券取引所に上場されているREITの利回りは、2020年5月の「J-REIT月次リポート」によると、平均分配金利回りは、平均4.37%です。
それでは株式投資の配当利回りは、どうでしょうか?2020年5月時点での「日本取引所グループ」(JPX)の単純平均利回りは、平均2.16%です。
【2020年5月時点での利回り】
東京証券取引所上場REIT 平均4.37%
東京証券取引所一部上場株式 平均2.16%
2020年5月の利回りは、株式投資より2.21%もREITの方が上回っていますから、株式投資よりREITの方が有利です。
REITのデメリット
株式投資より有利なREITですが、下記のデメリットもあります。
- 上場廃止になる場合がある
- 投資法人が倒産する場合がある
- 不動産価格の下落や金利の変動による配当金の減少
REITに向いている人
不動産投資を検討している人で、REITが向いている人は、下記のような人です。
「空室」や「家賃の下落」のリスクや手間を取りたくない人
REITでは、投資法人がいろいろな不動産に投資するので、投資家の収益に対して、対象不動産の「空室」や「家賃の下落」が配当に大きく影響することはありません。専門家によってREITのリスク分散は、十分な対策が取られています。
少額の資金で不動産投資を始めたい人
REITは不動産を証券化するため、少額の資金から投資することができます。また、不動産を実際に現地まで見に行く必要もありません。
投資資金以外の費用を払いたくない人
REITは実物不動産に投資しないため、不動産の所有権移転登記費用や不動産取得税、固定資産税や譲渡税などの諸費用や購入及び売却に伴う税金を払う必要がありません。
すぐに現金化したい人
投資資金を思い立ったらすぐに回収・現金化したい場合には、REITなら簡単に売却できて現金化が可能です。
*投資のリスクや手間をかけたくない人
*少額から不動産投資をしたい人
*投資金額以外に余計な費用を払いたくない人
*思い立ったらすぐに現金化したい人
実物不動産投資のメリット・利回り・デメリット
実物不動産投資では、実際に不動産を購入して管理する必要があります。不動産を購入するには、当然ですが不動産業者から購入することになります。そのためプロの不動産業者の担当者と交渉する必要があります。物件情報は、ネットで調べることができますが、一度は現地まで行って物件を見る必要があります。
不動産には、目に見えないリスクもあります。主要構造部の瑕疵・雨漏り・地盤沈下・設備の不具合に嫌悪的瑕疵、また物件の近隣に嫌悪的施設や反社会団体の事務所などが存在しているなど。基本的には事前に不動産業者の担当者教えてくれるはずですし、売買契約前の重要事項説明書に記載がしてあり、説明もしてくれるはずですが、事前の調査が必要です。
それから各行政機関が発行しているハザードマップにて、液状化リスク・津波災害リスク・大雨による浸水リスク・土砂災害リスクなども、確認する必要があります。
また、実物不動産投資には高額な資金が必要となります。基本的には銀行融資を受けることになると思いますが、銀行との融資手続きが必要となります。
なかなか専門的知識が必要な実物不動産投資ですが、下記のメリットがあります。
実物不動産投資のメリット
- レバレッジを効かせて資産を増やすことができる
- 現物の不動産を確認して、納得した後に投資できる
- 担保価値を利用して、徐々に不動産を増やすことができる
1.レバレッジを効かせて資産を増やすことができる
実物不動産投資のメリットは、何と言っても銀行融資を使うことで、投資資金にレバレッジを効かせて資産を増やすことができることです。住宅を購入するときに住宅ローンを借りるのと同じで、投資資金である頭金に銀行融資というレバレッジを効かすことで、何千万円もの住宅を手に入れることができるのと同じです。
現金での購入の場合1物件しか購入できない場合でも、銀行融資を使って複数の物件を購入することで、一気に資産を増やすことができます。
2.現物の不動産を確認して、納得した後に投資できる
投資対象の不動産を、実際に見て購入することができる醍醐味があります。REITの場合には、どんな不動産に投資しているか見ることができませんが、実物不動産投資なら、実際に投資対象の不動産を見ることができます。知識とセンスのある人なら、一目見れば「この不動産なら儲かる」と分かるはずです。
実際に見て投資した不動産が、安定的に高利回りで利益を出し、また高額で転売できたときの達成感は実物不動産投資でしか味わうことができません。
3.担保価値を利用して、徐々に不動産を増やすことができる
実物不動産は、資産価値が高いので、銀行に担保に入れることで融資を受けることができます。その融資を使って、再度実物不動産に投資して資産を増やすことができます。
これを繰り返すことで、資産をどんどんと増やしていくことが可能です。
実物不動産投資の利回り
実物不動産投資の利回りは、REITのように公式に発表されているデータはありません。通常ですと、表面利回り10%、実質利回り6%程でしょう。
利回りは、投資不動産の築年数が新しいものほど低く、築年数が古いほど高くなります。これは投資不動産の築年数が新しいほど、購入価格が高くなるからです。
そのため、ある程度築年数が経過した不動産を購入して、利回りを確保する投資家もいます。
私が実際に投資している実物不動産の利回り
戸建て = 表面利回り25% 実質利回り22%
ファミリー向けマンション = 表面利回り20% 実質利回り17%
ワンルームマンション = 表面利回り8% 実質利回り6%
(注)私は競売物件や任意売却物件を購入しているので、一般的な不動産投資利回りより利回りが高くなってます。
不動産投資のデメリット
不動産投資には下記のデメリットがあります。
- 不動産購入後に瑕疵が見つかる
- 不動産購入後に不動産の価格が下落する
- 地震や津波などの自然災害や火災・爆発など事件事故が発生するリスクがある
- 現金化するまでに時間がかかる
1.不動産購入後に瑕疵が見つかる
実物不動産を購入後に、目に見えない瑕疵(主要構造部の欠陥・地盤の沈下・雨漏り・設備の不具合)が発生することがあります。新築から10年以内であれば主要構造部の欠陥や地盤の沈下による建物の傾斜は、保証してもらえる場合もありますが、絶対ではありません。また雨漏りや設備の不具合は、購入した後しばらく経過してから発生する場合もあります。
2.不動産購入後に不動産の価格が下落する
公示価格や基準値価格の下落に伴い、物件価格が下落する場合があります。また、鉄道やバス路線が廃止になったり、近くの商業施設が閉店することにより、不動産価格が下落する場合があります。
3.地震や津波などの自然災害や火災・爆発など事件事故が発生することがある
地震や津波などの自然災害による建物の損傷や倒壊、火災や爆発など人的災害、投資不動産内での事件事故などによる、実質的な損傷や風評被害を被ることもあります。
4.現金化するまでに時間がかかる
資金が必要になって投資不動産を現金化する必要が発生した場合には、REITのようにすぐに売却して現金化することはできません。また現金化を急げば、売却価格が安くなってしまいます。
不動産投資に向いている人
不動産投資を検討している人で、実物不動産投資が向いている人は、下記のような人です。
とにかく投資対象の不動産を見てから投資したい人
実物不動産投資に向いている人は、不動産が大好きで、不動産を実際に見てから投資したい人です。また不動産業者との交渉も得意で、リスク管理もある程度は自分でできることが条件となります。それから、実物不動産を所有することで、満足感を得る人でしょう。
投資資金が豊富で大きく投資したい人
投資用の資金が豊富にある人は、実物不動産投資向きです。高額物件になれば、当然立地や築年数、その他の条件が良くなるので、やはりリスクを低く押さえた上で高い利回りを得ることができます。
レバレッジを効かせて資産を増やしていきたい人
頭金である投資資金にレバレッジを効かせて、銀行融資を上手く使い資産を増やしたい人。また、投資不動産を担保にして資金を借りて、追加の不動産投資により資産を増やしたい人。
*とにかく投資対象の不動産を見てから投資したい人
*投資資金が豊富で大きく投資したい人
*レバレッジを効かせて資産を増やしていきたい人
まとめ【REITと実物不動産投資の違い】
REITと実物不動産投資をまとめると、下記の通りです。
項目 | REIT | 実物不動産投資 |
収益性 | 株より高い | REITより高い |
不動産スキル | 浅くてもよい | 深い知識が必要 |
リスク | 低い | やや高い |
換金性 | 高い | 低い |
税金 | 分離課税 | 総合課税 |
REITは、手間をかけずに少額から不動産投資を始めて、思い立ったらいつでも換金をしたい人向き。一方の実物不動産投資は、不動産の知識があり高額の資金を投資しながら銀行融資によるレバレッジを効かせて、資産を大きく増やしたい人向きです。
初心者の人は、まずREITから初めてみて、そのREITの投資対象の不動産の動向を見ながら不動産の知識を取得してから、実物不動産投資を行い、資産を大きく増やしてみたらいかがでしょうか?
REITは少額から投資できるので、資金の少ない学生や主婦でも投資できます。実物不動産投資は、利回りも高いですがリスクも高くなるので、資金が豊富で不動産知識のある人向きです!
関連項目 投資用不動産評価方法(DCF法) 不動産投資成功例(戸建住宅編)
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