みなさんが投資用不動産の購入を検討する時には、その投資用不動産の購入価格はどのように計算してますか?
投資用不動産を購入時に諸費用や税金を支払った上で、家賃を得ても投資利回りが低ければ投資資金を回収するまでに相当の時間がかかりますよね!
また投資用不動産を一定期間所有して将来売却時の価格が安くなっていたら、この投資案件は失敗に終ってしまいます。
そのため投資用不動産を購入する時には、その購入価格を慎重に計算しなくてはなりません。
投資用不動産における評価方法のDCF法とは?
不動産の価格は基本的に売主の希望が反映されますので、市場価格より高額になる場合が多いです。
売却を依頼された不動産業者も、価格が高額になれば仲介手数料も増えるのでそれも不動産価格が高額になりやすい原因となります。
しかし購入する側からすると、市場価格に合った適正価格の上で少しでも安く買いたいですよね!
そうなると当然価格交渉となるのですが、イメージで「価格を○○万円にしてよ」と交渉しても簡単には交渉成立は難しいでしょう。
「不動産購入申込書」を提出して購入希望価格を提示する場合でも、その価格の根拠を示して「こういう査定根拠で算出したこの金額なら買いたい」と不動産業者に交渉するのが良いです。
実際に私が投資用不動産を購入する場合には、必ず購入希望価格の根拠を書面で提示した上で購入の申し込みをしてます。
また投資用不動産を購入する場合には、一定期間保有した後に転売することになると思います。
そのため購入する不動産の評価方法としては、不動産の価値を将来得られる収益も含めて評価する必要があります。その評価方法としては「DCF法」があります。
投資用不動産の評価方法、DCF法!
DCF法とは「ディスカウント・キャッシュ・フロー法」の略です。これは、物件の所有期間内の収益総額と売却時の想定価格を現在の価格に割り引いて計算する方法です。
なんだか難しいそうですが、原理はそれほど複雑ではありません。
できるだけ簡単に説明します・・・
DCF法は、購入を検討している不動産がどのぐらいの収益力を持ってキャッシュフローを生み出すのか? という視点から投資不動産の価格を算出する「収益還元法」のひとつです。
収益還元法には「直接還元法」と「DCF法」のふたつがあります。
「直接還元法」は、年間の賃料収入を利回りで割って投資用不動産の価格を計算します。
「DCF法」は、直接還元法では想定されない家賃の下落や空室リスクを加算して計算しますので、より現実的です。
DCF法は、投資用不動産の価値を正確に計算できます!
DCF法は、投資用不動産から「将来得られる収益額の価値を現在の価値に換算」して毎年の収益を積み上げます。
現在の価値に換算すると「1年後に取得できる100万円は現在の95万円になるかもしれない」と考える方法です。
この方法は「直接還元法」より現実的な考え方であり、長期保有する不動産投資物件の評価においては現在主流となっている計算方法です。
DCF法の計算式は、下記のようになります。
投資用不動産の収益価格=年間収支÷(1+割引率)+年間収益÷(1+割引率)の2乗+・・・
+年間収益÷(1+割引率)のn乗+物件売却時の不動産価格÷(1+割引率)のn乗
投資不動産の保有する年数、割引率によって計算します。年間収益は、初年度がベースとなってきます。
nは、投資用不動産の保有年数です。保有年数が5年であれば、5乗で計算は終わります。
DCF法は、割引率という仮定の数値を計算に組み込むことでより実態に近い計算方法となります。
割引率は、物件の立地条件や建物固有の条件から評価するという指針が国土交通省から出されています。
出展:国土交通省「不動産鑑定評価基準」
http://www.mlit.go.jp/common/001204083.pdf
実際には、近隣の競合物件の事例から割引率を設定する方法や、他の金融資産の投資利回りを参考に設定する方法が一般的です。
通常は3%~5%が目安となります。
DCF法で実際に投資用不動産の計算をしてみましょう
*対象物件 = 区分所有のマンション1室
*所有期間 = 5年
*5年後の売却価格 = 2000万円
*年間賃料 = 200万円(利回り10%)
*割引率 = 4%
購入後1年目から5年目までの各年の収益を、割引率により「現在価値」に計算します。(小数点第3位以下は四捨五入)
- 1年目 200万円÷(1+0.04)=192.31万円
- 2年目 200万円÷(1+0.04)Λ2=184.91万円
- 3年目 200万円÷(1+0.04)Λ3=177.80万円
- 4年目 200万円÷(1+0.04)Λ4=170.96万円
- 5年目 200万円÷(1+0.04)Λ5=164.39万円
この5年分の収益をすべて「現在の価値」に変換できたので合計します。
192.31万円+184.91万円+177.80万円+170.96万円+164.39万円=890.37万円
次は5年後の売却価格です。
2000万円÷(1+0.04)Λ5=1643.85万円 となります。
最後に5年分の収益の現在価値と、5年後の売却価格を合計して査定価格を算出します。
DCF法のまとめ
DCF法は、投資用不動産の購入を検討した時に、その投資用不動産の売却時の価格と保有期間の収益額の合計を「現在価値」に換算して評価するものです。
評価時の「割引率」を客観的かつ正確に設定することにより、精度の高い評価額が算出できます。
投資用不動産の購入を検討する時には、ぜひこのDCF法を取り入れて見て下さい。きっとあなたの資産形成に、大きな力を発揮してくれます。
FP FX Trader Japan FP@K