新型コロナウィルス感染防止のため、自粛生活を求められた上で経済活動も一部制限されて、職を失ったり、所得が下がったりした人がいます。
このような場合には、貯蓄を切り崩して生活することになります。企業もキャッシュ イズ キングの姿勢を取り、資産や債券を売却して現金を確保しました。
あらためて、貯蓄の大切さがわかった人が多くいたと思います。
このコロナショックにより、【貯蓄格差】がはっきりしました。所得格差よりも貯蓄格差が大切です。
では、「貯蓄格差」はなぜ起きてしまうのでしょうか?
所得格差より大切な貯蓄格差
最近は、所得格差という言葉をよく聞くようになりました。社会の中でIT化が進み、短期間で大きく利益を出す企業が増えました。そこで働く人の中でスキルの高い人は、高額な所得を得る人が増えました。
昭和の護送船団方式社会の終焉とともに、企業で働く人が年功序列で給料が上がるシステムも消失しました。ただ一生懸命に働くだけでは所得は上がらず、他の人と所得が大きく異なる時代になりました。
これが所得格差です。
厚生労働省の「平成29年賃金構造基本統計調査」によると、男性の正社員と(非正規社員)の年収は、大企業で403万円(244万円)、中小企業で331万円(228万円)、小企業で299万円(226万円)です。女性の正社員と(非正規社員)の年収は、大企業で299万円(199万円)、中小企業で259万円(185万円)、小企業で232万円(177万))となってます。
厚生労働省の「平成29年賃金構造基本統計調査」(雇用形態別賃金格差)
性別 | 男性 | 男性 | 女性 | 女性 |
雇用形態 | 正社員 | 非正規社員 | 正社員 | 非正規社員 |
大企業 | 403万円 | 244万円 | 299万円 | 199万円 |
中小企業 | 331万円 | 228万円 | 259万円 | 185万円 |
小企業 | 299万円 | 226万円 | 232万円 | 177万円 |
厚生労働省の「平成29年賃金構造基本統計調査」(学歴別賃金格差)
学歴 | 大学・大学院卒 | 高専・短大卒 | 高校卒 |
男性 | 400万円 | 313万円 | 291万円 |
女性 | 290万円 | 258万円 | 212万円 |
学歴や勤務している企業、また雇用形態により賃金格差があります。やはり、大卒で大企業に勤務している男性が所得面では有利となってます。
しかし、これは所得の話です。同じ所得でも貯蓄が、多い人 と 少ない人 がいます。今回のコロナショックの影響で、所得の多い人でも在宅勤務になり、残業代や交通費のカット・ボーナスの減額などで所得が減少して、生活が困ったという人も居ました。
このように所得が減少したり、途絶えたりした場合に、貯蓄があれば不安なく余裕で生活ができます。これが「貯蓄格差」、つまり現金や預金をたくさん持っている人とそうでない人の格差です。
このように、日々の生活の中で「貯蓄に助けられる」というシーンは、老後以外でも起こることです。「年収が高い人が勝ち」と考えられがちですが、実は「貯蓄が多い方が勝ち」とも言えるのです。
貯蓄格差は、学歴や勤務する会社や働き方などに係わらず、個々の生活の仕方やお金の使い方が大きく影響されます。
貯蓄格差は、もろに自己責任なので、実は所得格差よりも深刻です
年収300万円以下でも貯蓄格差を克服する方法
所得が多いから貯蓄が沢山ある、所得が少ないから貯蓄が少ないと思いがちですが、多くの場合には、所得金額以外の理由で「貯蓄ができる」、「貯蓄ができない」の差が起きています。
実際に私のクライアントの中でも、所得が300万円以下なのに1000万円を超える貯蓄のある人が多く居ます。
この人たちに共通しているのは、まずは質素でお金をたくさん使う習慣がない、貯蓄が必要だと将来に危機感をもっており、日々のお金の出入りに敏感な人ということです。
また、自分が現在貯蓄している金額に、今後得ることができる金額をちゃんと把握しており、今後必要となる支出に対して事前に貯蓄として残すお金と支出に使うお金を分けています。
逆に貯蓄ができない人は、貯蓄額を把握しておらず、支出の目的・目標が分かっていない「何とかなるでしょ!」的な考えを持っている人です。
また所得の多い人は、「自分は人より稼いでいるから、大丈夫」との慢心から日々の無駄遣いが多く、お金を使いすぎる傾向があります。
もし、自分の貯蓄が少ないと思ったら、上記の内容を見て、どうしたら改善できるかを検討すれば解決策が見つかるはずです。
*貯蓄のある人は、お金を使う目的と目標がはっきりしている。
*貯蓄のない人は、稼いでいるという慢心から無計画にお金を使ってしまう。
「貯蓄すること」は、先の未来の自分を守るため!
今までの内容を見ていただければ、貯蓄は多い方が、現在そして未来の自分のためになると再認識したかもしれません。
しかし、貯蓄があれば安心ということではなくて、将来的に収入は確保し続けることも大切です。なぜなら、将来インフレになってお金の価値が下がれば、貯蓄しているお金の価値が下がってしまうからです。
では、いったいどれぐらいの貯蓄があれば安心でしょうか?
私たちFP(ファイナンシャル・プランナー)の常識では、病気やケガで入院して働けなくなったり、失業・転職、その他緊急事態を凌ぐために必要な貯蓄額は、毎月の生活費の6ケ月分が最低額と認識しております。
貯蓄額は、所得の1年分とは2年分とかあれば安心ですが、貯蓄が多すぎるのも考えものです。緊急避難時予算として6ケ月分ほどの貯蓄があるなら、残りは将来のインフレに備えて、また効率的に貯蓄を増やすために、リスクの少ない投資商品に投資するべきです。
投資スキルが高い人以外は、株やFXは回避が条件です。投資するなら、取り組みやすくてリスクが低い「インデックスファンド」などの投資信託がおすすめです。インデックスファンドなら少額から投資できるので、毎月の貯蓄額から数千円でも投資に回すことで、ドルコスト平均法で資産が増えて行きますので、少しずつ「貯蓄格差」が解消されて行きます。
まとめ
今後、貯蓄や資産がないことに焦り、悩まないために、今日から「所得格差」と「貯蓄格差」を理解して、固定概念を捨て、自分の生活を見直して、コツコツと取り組むことから始めましょう。
人生の三大支出は、「住宅資金」「教育資金」「老後資金」です。それに加えて最近では「親の介護資金」も必要となる人が多いです。
人によっては、住宅資金や教育資金が不要な人もいますが、老後資金はすべての人が必要です。
とにかく、自分の将来に向かって、目的をもって計画的に【貯蓄】をすることが大切です!
年収が高くても、貯蓄が少ないと緊急事態時には困窮します。なので年収に係わらず、将来の目標に対して、明確な目的をもって貯蓄をすることが大切です!
FP FX Trader Japan