株で儲けたい人は、成長株・割安株・不人気優良株を見つける必要があります。【会社四季報】見ればそれが分かります。私が実際に株で儲けるために実践している、会社四季報の見方を教えます。VOL2
企業の業績をしっかりと把握しましょう
売上や利益の推移で有望株を見つけましょう
会社は、株主に対して経営状態を正確に報告する義務があります。これが「決済」です。会社四季報では、社名の下の欄の【決算】欄が決算期を示しています。(3月)は3月末が決算日です。上場企業は、下記の決算を情報開示します。
*年1回「本決算」
*年2回「中間決算」
*年4回「四半期決算」
決算には、1社だけの「単独決算」とグループ全体の「連結決算」があります。重要視されるのは、連結決算です。決算で大切なのは、下記の3つです。
*損益計算書
*貸借対照表
*キャッシュフロー計算書
これらを見ると、会社の経営状態が分かります。「会社四季報」は記事面の都合から掲載しておらず、【企業URL】欄から会社のサイトにアクセスして会社の決算データベースから情報を見ます。
私が、まず最初に確認する項目は、【業績】欄の売上高、営業利益、経常利益、当期利益、1株配です。企業が成長しているのか、成熟しているのか、衰退しているのか、有望株か成長株かが分かるからです。
*売上高 = 企業のすべての売上高
*営業利益 = 本業から稼いだ利益
*経常利益 = 本業およびその他の事業で稼いだ利益
*利益 = 特別損益・利益・法人税を考慮した利益
*1株益 = 1株当たりの利益
*1株配 = 1株当たりの配当額
営業利益で、会社の本業の力を理解しましょう
前記の【業績】欄には、3つの利益があります。これをちゃんと理解すると、会社の本当の力を知ることができます。
①営業利益 利益の中で最も重要です。本業のみの儲けだからです。
②経常利益 連結経常利益のことです。すべての企業活動の儲けです。
③利益 最終利益のことです。経常利益+特別損益-法人税等の利益
「儲ける力」を知るために、他の企業と比較しましょう
会社が儲かっているのか?を知るために、売上高に対して営業利益がどれぐらいあるのか、を確認する必要があります。売上高が高くても、利益が無ければ、投資対象ではありません。これは、営業利益を売上高で割って、売上高営業利益率を計算します。
売上高営業利益率 = 営業利益 ÷ 売上高 × 100
売上高営業利益率が分かったら、過去の会社四季報を見て、利益率が上がっているのか、それとも横ばいなのか、または下がっているのかを確認します。上がっているのなら、成長企業となります。
また、同業他社と利益率を比較して、その業種内で儲かっている会社なのか、それとも儲かってない会社なのかを判断することが大切です。
業績の現状、事業計画、懸念材料があったら確認しましょう
売上高と営業利益率を見れば、業績の良さやその勢いがわかります。しかし、会社の内容や今の状況まではわかりません。これを知るために、売上高と利益の背景を把握する必要があります。それは、業績の状況、事業計画、懸念材料です。
①業績の状況 新製品の発表や新規事業の立ち上げ、MAなど
②事業計画 これからの事業展開や資金の投入・生産拠点強化など
③懸念材料 原材料の高騰、規制の強化、競合企業の台頭、販売不振など
1株利益が年々増加している会社は、成長中と判断できます
私が投資先企業を判断するために最も注目しているのは、その会社の業績と株価です。この関係を測るために見るのが、1株利益です。
1株利益は【業績】欄に記載してある「1株あたり利益」のことで、EPSとも表示され、当期利益を発行済株数で割って計算します。
EPS(1株利益) = 当期利益 ÷ 発行済株式数
大企業となると利益は大きい一方で、発行済みの株も多いので、企業規模に関係なく株の価値を測る必要があります。
ただし、1株利益が前期から極端に変動があった場合には、不動産売却による特別損益があったり、本業以外の大きな損益が発生したりしている可能性があります。その場合には、1株利益は正確でなくなるので注意が必要です。
「会社四季報」の業績予想は、インパクトがあります
会社の業績予想を知るためには、その会社のホームページにアクセスして、決算発表と同時に公表した、次期の業績予想を見ます。
また、売上高で10%、経常利益・純利益で30%の変動が生じた場合には、修正を発表します。
会社の業績予想の他に、株価に大きな影響を与えるのが「会社四季報」の業績予想です。会社四季報の記者が、独自の取材から予想したもので、当然ですが会社発表の予想とは違った数字になります。
会社四季報の業績予想は、投資家から支持されており、会社四季報が高く評価した銘柄は、会社四季報が発売された後に大きく上がり始め、「四季報相場」となります。
①会社四季報の予想は、今期・来期の2期にわたる予想が掲載
②会社四季報の号が進むたびに、新しい材料を織り込み修正されて掲載
③毎号上方修正される銘柄は、業績の上げトレンドが強い
④毎号上方修正していても、本決算の発表時に織り込み済みの場合には株価は動かない
PERでお買い得さがわかります
どんなに良い銘柄でも、買うタイミングがあります。いろいろと調べて買った銘柄の株価が、その日から下降トレンドに入ることもあります。理由はいくつもあると思いますが、買った銘柄の株価が、すでに高かったという場合が多いです。
そのために、まず購入を検討している銘柄が、お買い得の価格なのかを判断する必要があります。それを調べるのに役立つ指標が、PER(株価収益率)です。
PER(株価収益率)= 株価 ÷ 1株益
PERにて銘柄を判断する場合には、下記に留意する必要があります。
*PERが低いほど、その銘柄はお買い得。
*「会社四季報」では、チャート欄の右横に、今期と来期の予想PERが記載してある。
*PERは、15倍~20倍を一応の目安とする。
*購入銘柄が決まったら、同業種銘柄のPERと比較する。
*年ごとにPERが下がっていれば、業績が上向きとわかる。
業績の変化が大きいとき、株価は動きます
株価がもっとも動く理由のひとつは、収益の数字が大きく変化したときです。高い収益の会社が、それを維持しても、株価は大きく動きません。
①経常利益が、マイナスからゼロあるいはプラスになったとき。
②経常利益が、ゼロ状態からプラスになったとき。
③経常利益が、プラス状態からさらにプラスになったとき。
このようなパターンのときに、株価は大きく動きます。
株価は少しでも業績が良い方向に向かうと上げるので、とにかく上げる要因は業績の改善だと覚えて置いて下さい。
たとえ赤字の会社でも、黒字になる見込みが立ったり、赤字が減る段階でも株価上昇の原因となります。私は、あえて赤字の企業に投資して、優良株より高い利益を上げることに集中してます。
借金体質かどうかを確認しましょう
借金は、会社経営には必要なもので、借金以上の利益を上げていれば問題ありません。事業を拡大するには設備投資が必要で、当然資金(借金)が必要となります。
しかし、事業が失敗して投資資金が回収できなければ、借金が収益を圧迫します。
では、「会社四季報」のどこでそれを見抜けば良いでしょうか?
①【財務】欄の有利子負債を見る
②有利子負債と【業績】欄の売上を比較する
③有利子負債額と【財務】欄の総資産を比較する
有利子負債でわかることは、その会社の規模や財務の健全性であって、負債の金額で株価の高い安いがわかるわけではありません。
借金体質の会社であるのに、毎年順調に借金を減らしている会社が、借金体質でない会社よりも株価上昇率が高い場合もよくあります。
「会社四季報」の発売と決算カレンダーの関係は知っておきましょう
「会社四季報」の年4回の発売日と、それぞれの特徴と決算の関係を知っておくことは、株式投資にはマストです。
1.集新春号
(12月中旬発売) |
11月末までに発表の9月中間決算を掲載 半年前の結果を踏まえて年間の業績予想 年末から3月決算を見すえて来期の業績予想で株価が動く |
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2.集春号
(3月中旬発売) |
第3四半期決算を掲載 今期・来期の2期の業績予想が掲載 来期が重視され、今期良いが来期悪い銘柄は敬遠されがち |
3.集夏号
(6月中旬発売) |
もっとも売れる号 発売直前に発表の3月決算の情報を掲載 会社の計画や業績予想が発表された後に、業績予想がでる |
4.集秋号
(9月中旬発売) |
第1四半期決算を掲載 第1四半期が良い会社は、その後も順調なことが多い 業績のトレンドや転換点が読める時期が豊富 |
企業の財務を読み込みましょう
危ない企業は、どこでわかるのか?
「危ない会社」とは、経営が破綻しているが上場が維持されている会社、また早晩破綻すであろう会社です。
「危ない会社」の株を間違って買わないようにするためには、どのような点に注意して「会社四季報」を読む必要があるのか?
① 株価チャートに注目 危険信号は、株価の安さや急激な株価下落の会社
②【財務欄】の株主持分注意 株主持分に▲がついている会社は債務超過
③【記事】欄に「繰越損失」 繰越損失は株主総会の承認を得て内部留保取崩し
④【財務】欄の利益剰余金 利益剰余金に▲がついているのは、不健全の証拠
⑤【キャッシュフロー】欄の(営業CF)マイナス 赤字が続いている
債権格付けは株価に影響します
会社は、資金調達のために債権を発行することがあります。この債権が債務不履行にならず、期限までに償還されるか、つまり返済能力の確実性を表すのが「格付」です。「会社四季報」の【格付】欄には、日本で格付業務を行っている下記の4社の格付を掲載してます。
- (SP)スタンダード&プアーズ
- (M)ムーディーズ
- (J)日本格付研究所
- (RI)格付投資情報センター
格付は、AAAからB・C・D(デフォルト)・SD(破綻)となってます。
①格付は、会社の債務返済能力を示し、株価とは関係ない
②格付は、会社の業績や収益とは関係ない
③格付が良い場合には、財務状態が良好を判断できる
④格付が引き下げられたときは、株価のマイナス材料となる
⑤格付がC以下の会社は、要注意として投資は避けるべき
⑥【格付】欄には、すべての格付会社の格付が掲載されていない
時価会計で正確で最新の財務状況を把握しましょう
以前の日本企業は、「含み経営」の恩恵を受けて来ました。簿価より時価が高い場合、その差額を含み益とみなし、地価と株価が右肩上がりの間は、赤字の益出し特損の穴埋めなどに都合よく使われて来ました。
企業が実際に含み資産をどれぐらい持っているのか、それをどんな事業計画で投資しようとしているのか、というような投資家の関心が株価に反映して来ました。
しかし、商法改正により、企業会計が時価会計になり、株価の大きな変動が損益や経営戦略に大きな影響を与えるようになり、「含み経営」そのものが時代遅れになりました。
時価で正確な最新の財務状況を知ることで、計算しづらい「含み」という曖昧なものを当てにするより、時価主義会計で正確な数字を見ることができるのは、とても大切なことです。
過去:取得原価主義(簿価主義)
含み益 = 簿価(購入価格) < 時価(現在の売買価格)
含み損 = 簿価(購入価格) > 時価(現在の売買価格)
現在:時価主義
売買目的で保有する有価証券 投資有価証券
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時価評価 時価評価
⇓ ⇓
評価損益は損益計算書の営業外損益として計上 評価損益は純資産の部に計上
ROEとROAで資産や資本の効率を見ましょう
投資を検討してる会社が、資産や資本をどれぐらい効率よく使って利益を出しているかを知る必要があります。そのために使われる指標が、ROE(株主資本利益率)とROA(総資産利益率)です。
ROE(株主資本利益率) = 当期利益 ÷ 株主資本 × 100%
ROA(総資産利益率) = 当期利益 ÷ 総資産 × 100%
①ROEは、当期利益を株主資本で割った数値で、どれだけ効率的に利益を上げたかわかる。
②ROEは、平均で5%ぐらい。10%超えれば優秀な会社と見ても良い。
③ROAは、総資産に対してどれだけの利益を上げたかが分かる。
④ROAは、平均1%ほど。過剰設備投資の傾向があるために低い。
⑤ROAは、他業種と比較して効率の良い銘柄を選ぶ必要がある。
ROEやROAの数値が低いと、収益率が低いということなので、経営者にとってはマイナスだが、投資家にとってはチャンスとなります。
会社四季報では【指標等】欄に、直近決算の実績数字と今期業績予想数字を掲載しているので、重宝します。
この実績よりも予想数字が高ければ、当然収益が改善していると判断でき、投資対象となります。
本業CFマイナスは本業が赤信号、要注意
キャッシュフロー(CF)と呼ばれる重要な決算データがあります。これは、損益計算書では分からない、実際に会社のお金がどのように増減したかを教えてくれる、とっても重要なデータです。
キャッシュフロー計算書は3種類あり、営業活動によりCF、投資活動によるCF、財務活動によるCFです。いずれも期末時点での現金及び現金同等物の残高が集計されます。
営業CF | 営業取引によるキャッシュフローの増減を示す。キャッシュの源泉は当期利益だが、期末時点で売掛金もあれば、買掛金もあり、それらを差し引きして、かつ残っている減価償却費もキャッシュも加算する。当然ながら、プラスになっているのが正常となる。 |
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投資CF | 設備投資への支払いや、子会社や関連企業への投資に対し、資産や有価証券の売却額などを差し引いた金額となる。有価証券売却などがないかぎり、マイナスになるケースが多い |
財務CF | 資金繰りの状況を表す。営業CFで稼いだキャッシュを投資CFに回し、その不足分を財務CFで調整する。 |
「会社四季報」では【キャッシュフロー】欄に、この3つのCFと現金同等物に関する2期のデータを、また【業績】欄に2期分の営業CFを掲載しています。
3つのCFに加えて、フリーキャッシュフローというものがあります。これは、営業CFから現状維持のため投資に回した投資CFを差し引いたものです。この残高がプラスなら、これを将来自由に使うことができ、いわば成長原資とみなせるので、重要視されます。
企業の業績をしっかりと把握した上で、企業の財務を読み取り、キャッシュフローを確認しましょう。
会計は「オピニオン」、キャッシュフローは「真実」であり、会計のように操作ができない事実だからです。
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